工業用・産業用鉛蓄電池、蓄電池設備とは
産業用鉛蓄電池のニーズは近年高まり続けています。
制御弁式鉛蓄電池は主電源としては、トランシーバーなどの通信機器や芝刈り機などの電動工具、医療機器においては計測器、医療用電子機器、昇降機付介護ベッドに使用されています。
また蓄電池設備を擁するバックアップ電源としては、各種通信機器の基地局に設置される電源として、停電時の非常用電源として、コンピュータシステムバックアップ、シ-クエンサーに。また各種非常用機器にも利用されています。
こうした産業用蓄電池には様々な種類があり、用途によって使わけられています。身近なところでは、パソコンの非常用電源としても利用されています。
最近では2016年4月に発生した、熊本大地震において一般家庭や公共施設における非常用電源の重要性が再認識されました。
というのも近年では各家庭においても太陽光発電を利用し、停電時にはこちらを主電源として活用する想定が思惑通りにいかないケースが多発したのです。
その理由は地震による太陽光パネルへの直接的なダメージです。しかも破壊された太陽光パネルを触ると感電する可能性もあるという、いわば二次災害の可能性もあり、資源エネルギー庁から注意喚起がなされるという事態になっています。
蓄電池や、蓄電池設備の場合、振動や衝撃にも強く、バックアップ用の電源として、個別の機器ごとに使用できますから、局所性と緊急時に優れた力を発揮する電源と言えます。
蓄電池設備と規制
蓄電池設備には規制が存在します。
開放形の鉛蓄電池の規制を目的として昭和36年に制定されたもので、
下記が主な目的です。
- 蓄電池設備の電気的出火危険防止
- 蓄電池設備における水素ガスの異常発生による燃焼の危険防止
- 希硫酸による可燃物の酸化防止
当時の規制対象の蓄電池設備は
定格容量の合計が200アンペアアワー以上の蓄電池設備です。
現在では、省令もしくは条例によって主に以下が規定されています。
電気的出火危険関係規制
- ⇒屋外に設ける蓄電池設備はキュービクル式にする
- ⇒屋内の場合、不燃材料で造った壁、床及び天井で区画、かつ、窓及び出入口に防火戸を設けること
・水素ガスの異常発生による燃焼の危険
- ⇒蓄電池設備の有効な換気設備
- ⇒蓄電池設備近くでみだりに火気を使用しない
・希硫酸による可燃物の酸化防止
- ⇒電槽は耐酸性の床上又は台上置く
といった省令があります。
こうした省令に基づき蓄電池を利用すべきですが、家庭用蓄電池などについては、十分な蓄電池設備の設置スペースと最適な温度環境が確保できるという点も、重要な要素となります。
各社お取り扱い可能です。
GSユアサ、古河電池、新神戸電機、パナソニックの蓄電池取り扱いできます。
<ジーエス・ユアサコーポレーション>
産業用蓄電池を数多く揃えるメーカーです。昨年パナソニックより鉛電池事業を買収、今後も国内だけでなく海外を視野に蓄電池設備ほか事業規模拡大を狙っています。
産業用鉛蓄電池
小形制御弁式鉛蓄電池
NP/PE
NPH/PX
PXL/RE
PWL
車両用鉛蓄電池
TRE
制御弁式据置鉛蓄電池
MSE
SNS(中・大容量)
HSE
SNL
SUB
STH
SLR
制御弁式鉛蓄電池
SNS(小容量)
SE
REH
ベント形据置鉛蓄電池
CS
HS
PS
船舶用(SS/PS)
<古河電池>
古河グループの鉛電池ほか製造メーカーです。自動車用、二輪車用、電動三・四輪車用、鉄道車両用、航空機用、船舶用、産業用、産業用太陽光発電システム、蓄電池設備などの鉛電池を開発しています。
制御弁式据置鉛蓄電池
HSEシリーズ
MSEシリーズ
FVLシリーズ
FMU-Sシリーズ
FVHシリーズ
ベント形据置鉛蓄電池
CS形(クラッド式)
HS形(ペースト式)
PS形(ペースト式)
小形制御弁式鉛蓄電池
mシリーズ
FMLシリーズ
FLHシリーズ
FPXシリーズ
サイクルユース用制御弁式鉛蓄電池
FCPシリーズ
UBシリーズ(UltraBattery)
<新神戸電機 日立化成(日立ブランド)>
標準タイプ制御弁式据置鉛蓄電池 「MSEシリーズ」など、従来品にない特徴のある製品を開発し続けるメーカーです。
長寿命タイプ制御弁式据置鉛蓄電池 MSJシリーズ(長寿命MSE)
長寿命タイプ制御弁式据置鉛蓄電池 「MUシリーズ」
制御弁式据置鉛蓄電池 「UP-Rシリーズ」
標準タイプ制御弁式据置鉛蓄電池 「HSEシリーズ」
制御弁式据置鉛蓄電池 電力貯蔵用 「LLシリーズ」など
<パナソニックストレージバッテリー>
補水不要のEV鉛蓄電池をフォークリフト業界に持ち込んだ、国内屈指のメーカーです。
制御弁式鉛蓄電池
LCシリーズ UPシリーズ
EV鉛電池:EV用制御弁式鉛蓄電池
EC-FV1260EC-FV1238
とくにこちらはハイレート、ローレート双方の用途でも長寿命を発揮する製品特性を持っています。
EC-HV1255
国内の鉛蓄電池メーカーは、今回紹介した4社がシェアを分け合っていると言えます。
各種触媒栓も取扱あります。
太陽光発電用蓄電池もご相談下さい。
交換設置も承ります。※
据置型鉛蓄電池交換工事事例
![]() 交換前鉛蓄電池 |
![]() 仮電源設置 |
![]() 新しい鉛蓄電池へ交換 |
![]() 交換後鉛蓄電池 |
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蓄電池豆知識
■蓄電池の原理
蓄電池設備などで利用される蓄電池は電気化学反応を利用して、電気エネルギーを作り出しています。
充電と放電、この二つの化学反応を利用します。
化学式は以下の通りです。
PbO2+4H++SO42-+2e-←→PbSO4+2H2O 正極
Pb+SO42-←→PbSO4+2e- 負極
PbO2+2H2SO4+Pb←→2PbSO4+2H2O 蓄電池全体
左から右の反応が、充電
右から左の反応が、放電です。
充電時、蓄電池に外部電源から直流を供給し、
極板活物質を化学反応させ、蓄電池内に電気エネルギーを蓄えます。
一方放電は、機器を使うとき、蓄電池から電気エネルギーを取り出します。
このように絶えず充電と放電が行われ、電源を確保します。
ちなみに充電の最終段階では、正極板から酸素ガスが発生します。
酸素ガスは蓄電池内部を移動し、負極板の表面で吸収されます。
これを負極吸収反応機能と言います。
この酸素ガスは、硫酸鉛と水を生成するため、制御弁式鉛蓄電池の場合、かつての液式電池のように水を補給する必要はありません。
■蓄電池の構造
・ベント形鉛蓄電池(開放タイプ)
鉛蓄電池が発明された時の構造がこちらです。電解液の入った電槽に極板を挿入し構成されています。こちらはいわゆる液式電池で、充電中に起きる水の電気分解反応、あるいは自然蒸発で水が失われていくため、精製水の補給が必要となります。自動車や小型飛行機などに利用されている蓄電池です。
・制御弁式鉛蓄電池(VRLA、valve-regulated lead-acid battery タイプ)
1980年代に市販された製品で、精製水の補給が不要なタイプです。蓄電池設備に利用されます。
充電中の電気分解反応において発生した酸素ガスが、電極板表面での化学反応で元の水に還元されるためです。
点検や保水する必要がないため管理が容易ですが、電解液がベント形鉛蓄電池と比べて少ないため、周辺温度の影響を受けやすい点が欠点です。
また、高い温度条件下での使用は電池寿命が短命になる原因となります。
制御弁式鉛蓄電池には様々な種類の製品があります。
吸収ガラスマットバッテリーと呼ばれる製品は、陽極と陰極を分けるセパレーターに微細なガラスマットを使用、電解液をそのマットにキープする構造となっています。
この製品の利点としては、ベント形鉛蓄電池では不可能だった横倒しの設置が可能となり、蓄電池設備のほか、バイクや無停電電源装置に用いられるなど幅広い用途で活躍しています。
■蓄電池の充電について
制御弁式鉛蓄電池では、充電電圧は蓄電池や蓄電池設備近くの温度にしたがって行なわれる必要があります。これを温度補償といい、蓄電池が高温状態で使用された時の熱暴走を、低温状態で使用された時の不十分な充電を防ぐことができます。
充電時の雰囲気温度は、0℃~40℃の間が適温です。
また充電に最適な雰囲気温度は5℃~35℃となります。
逆に0℃以下、40℃以上の環境下では充電はやめたほうが良いでしょう。
過充電
完全に充電されたにも関わらず、さらに充電されてしまうと過充電状態になります。
過充電の状態になった場合、電池の寿命が短くなってしまいますので注意が必要です。
蓄電池がうまく充電できないからと言って、逆充電を行う方もいらっしゃいますが、非常に危険です。漏液、発熱、爆発の原因になります。
充電時間の目安
鉛蓄電池を利用する際、満充電に必要な時間は蓄電池自体の特性、放電深度、雰囲気温度によって決まってきます。
サイクル充電においては、放電電流が0.25CAより大きいとき、必要な充電時間は充電前に放電された電気量/充電の初期電流+3~5となります。
放電電流が0.25CAより小さいとき、必要な充電時間は、充電前に放電された電気量/充電の初期電流+6~10となります。
■蓄電池の充電に必要な整流器とは
蓄電池設備などの蓄電池を充電する場合、整流器が必要となります。これは定電圧充電と定電流充電を組合せて行い、過充電とならないように制御する仕組みになっています。
整流器には容量があります。充電する蓄電池の種類によって計算を行い、最適な整流器の容量を決めますが、その際、常時流れる電流を加算して、数値を導き、その数値以上の整流器を使います。
鉛蓄電池とアルカリ蓄電池を充電する場合、
- 鉛蓄電池10時間率
- アルカリ蓄電池5時間率
とします。
200(Ah)の鉛蓄電池で、常時電流が10(A)の場合、
I=200/10+10=30(A)
となります。
この場合、30(A)以上の整流器を使って充電を行うと良いでしょう。
■鉛蓄電池の充電方式
鉛蓄電池は一般的に全自動充電方式となっています。
その方式は主に、下記の3方式です。
・浮動充電(フローティングチャージ)方式
充電器に対し、負荷と蓄電池を並列につないで接続されたシステム。
これをフロートと呼び、一定の電圧を流して負荷をかけながら充電池を充電していきます。負荷をかけている間も電源から負荷電流が供給されます。
・トリクル充電方式
浮動充電とは違い、電源が作動している間は蓄電池と負荷は切り離されます。通常時は蓄電池の自己放電分を補う分の小さな充電がおこなわれ、電源からの電力がない停電時には、蓄電池から負荷へ電気が供給される仕組みです。
・均等充電
長期間充電していた場合、蓄電池は各セルの電圧が不ぞろいになり、循環電流が流れるなどの自己放電が起こりえます。それが電池の寿命を短くする点、加えて電圧のばらつきを補正するために、定期的に通常の充電電圧よりも高い電圧で、全セルの電圧を均等化します。
回復充電について
蓄電池を使い切った状態、いわゆる放電状態になった場合、回復充電を行う必要があります。日常使用している間、こうしたことは起こりにくいのです。しかし災害時においては、停電などで蓄電池を休まず使い続けないとならないケースもあります。
その際、蓄電池設備ならびに蓄電池への回復充電は速やかに行わなくてはなりません。
防災用の蓄電池は充電装置の出力電圧を上げ、通常よりも早く充電を行います。
放電しきった状態から回復させるまで、鉛蓄電池が1日かかるとすると、アルカリ蓄電池はその三分の一の時間で済みます。
回復充電が完了した場合、すぐに充電を停止し過充電にならないよう配慮が必要です。ただ現在の蓄電池には過充電を防止する安全装置が付いていますので、それほど心配する必要はありません。
ただ異常発熱などが起きた場合には対処する必要があります。
■蓄電池の蓋
蓄電池には蓋がついています。鉛蓄電池ではベント型と呼ばれるものが使用されます。これは爆発や内部液体の飛散を防ぐために取り付けてあり、火気や大きな衝撃に対して蓄電池とた蓄電池設備の設置環境を守る役割を持っています。ベント型は充放電ガスを外側に放出して成り立っているので、補水が必要です。
一方、シール型の蓄電池については、ベント型のような装置ではなく、触媒栓によってガスを水に戻す触媒栓方式、発生したガスを陰極板に吸収させる陰極吸収方式の2種類があります。メンテナンスが簡単で、補水不要です。
■蓄電池の極構造
蓄電池には、極板の種類によって3つの形式に区分されます。
・クラッド式
クラッドとは覆うという意味で、極板活物質をガラス繊維をチューブ状に編んで固めたものの中に充てんする極板です。
蓄電池の耐久性を上げ、産業用の長寿命タイプの蓄電池などで利用されます。こちらは正極板にしか使われません。
・ペースト式
ペースト状にした活物質を極板の骨組みに塗りこんで極板にした方式です。こちらは正極板だけでなく、負極板にも使われます。
メリットは極板の反応面積が増えることで、短時間で大電流を放電できる点です。
・チュードル式
チュードル方式は、鉛の板に縦溝を複数入れ、表面積を稼ぎつつ、表面を酸化させて使用する極板です。現代的な方式ではなく、いまではあまり利用されていません。
■蓄電池の寿命
蓄電池には寿命があります。
制御弁式鉛蓄電池における寿命ですが、こちらは製品本来の期待寿命に加え、蓄電池設備や使用方法、使用環境下によって微妙に違いが出てきます。
期待寿命では、25℃を基準にして10℃温度が上がった場合、期待寿命は半分になります。
期待寿命はHSE形で5~7年、MSE形で7~9年です。
長寿命型のMSEでは期待寿命は13年から15年ほどになります。
鉛蓄電池では、寿命に至るまでに4つの進行パターンが存在します。
正極板、蓄電池、負極板、電解液ほかの4つです。
正極版においては、格子の腐食によって格子の伸びorやせが起き、やがて導電性が低下します。
格子の伸びでは有効活物質の減少が起き、これは蓄電池の容量低下につながります。
同時に負極板ではサルフェーションが進行、蓄電池内では導電性の低下とサルフェーションで内部抵抗の増大が起き、のちに容量低下、そして寿命へと至ります。
電解液のトラブルは基本的にあまり見られませんが、何らかの原因で減液するケースもあります。